価格の不思議

経済学を勉強すると価格の不思議に興味を持ちます.先のブログで人がコインロッカーにお金を払う不思議を書きましたが,私から見ると特急列車の特急券も不思議に見えるのです.

特急列車と各駅列車の違いは,途中駅を通過するかしないかだけです.ですからコストは発生しません.でも不思議なのは,乗車券とほぼ同額の特急料金が取られることです.

さてこれはいったい何の費用なのでしょうか.労働と労働の交換で考えれば,必要でない費用に思います.

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ところが乗客から見ると特急は大きな価値に見えます.なぜなら速いし快適だからです.その乗客から見える価値を利用して取っているのが特急料金といえるでしょう.

確かに特急用車両は少し豪華で高価と言われます.でも鉄道車両はおよそ40年使いますので,メンテナンス費も含めるとまた違ってきます.各駅車両の方が消耗品が多い分,車両価格は理由にならないのです.

それから自由席と指定席.これも不思議です.この指定席料はいったい何の費用でしょうか.指定席券という紙と印刷の費用でしょうか.これも労働の交換には見えないのです.

書籍ビジネスも不思議です.ある本が売れて第二版を刷ることになりました.この第二版には,編集費や版下代や諸々のイニシャル費はすでに不要になっています.でも不思議なのはその分の価格が下がらない事です.さてその差額は一体どこに消えるのでしょうか.

さらにベストセラーになってじゃんじゃん重版になったとします.普通工業製品ならコストダウンが進んで価格が下がるはずですが書籍は下がりません.とても不思議です.分母が大きくなると割り算が効いて単価が下がるはずですが.

つまり,これが出版社の儲けのカラクリなのです.ネットが無かったころ,このビジネスモデルは最強でした.

分母が大きいというと,満員電車の料金は下げるべきかもしれませんね.なぜなら多くの人で車両をシェアするからです.特急料金という快適料を取るのなら,満員電車は不快ですから価格を下げるのが筋でしょう.でも下がらないのです.むしろ繁忙期料金と言って割高になります.

つまり繰り返しになりますが,価格は必ずしも労働と労働の等価交換でないという事なのです.

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