GaNの不思議な現象
5年ほど前にGaNを触っていて気づいた不思議な現象をお話しします。ご存じのようにGaNはJ-FETと同じで元来ノーマルONのデバイスです。ですがTransphorm社の製品ではMOSFETとカスケードにして見かけ上ノーマルOFFとなる構造が採用されています。今回使ったのはTPH3205WSBです。

TPH3205WSBの主な仕様
VDSS :650V
VTH :1.6~2.6V
RDS :60mΩmax
ID :35A@25℃
CISS :2200pF
COSS :135pF
CRSS :23pF
GaNを触っているうちにどうも壊したようなので、テスターでピンを当たりました。すると次の現象に出会いました。
1. G-S間の抵抗は無限大 → つまりG-S間は問題ない!
2. D-S間の抵抗はゼロ → つまりD-S間がショートモードで壊れている!?
間違ってもボディダイオードを測る様なミスはしていません。そこで確認のため新品でも同じテストをすると同じ現象となったのです。あれれ?新品も壊れているのか??
さらに触っているとG-S間をショートさせればD-S間がゼロから無限大(ON→OFF)に戻る事が解りました。つまり疑ったデバイスは壊れていなかったのです。
結局わかったのは、GaNにはサイリスタ的な動作が存在することです。G-S間に電圧を加えるとD-S間がONします。次にG-S間をオープンにしてもサイリスタと同じでずっとD-S間がONのままになるのです。ここで面白いのは、D-S間も開放にしてもONは残り続ける事です。サイリスタの場合は一度A-K間の通電を止めるとOFFに戻ります。ためしに2時間ほど放置し、再びテスターでD-S間を測りましたがONのままでした。もちろんG-S間をショートするとOFFに戻ります。
実際GaNを使うときはG-S間に抵抗を渡すので、このサイリスタ的な現象は回避できますが、エンジニアとしてこの現象を知っているのとまた違ってくると思います。

