分布定数線路1

集中定数回路に馴染んでいると、電圧や電流が反射するという現象をどう把握してよいのかなかなか悩みます。現実問題として雷サージへの対応も迫られることもあり、エンジニアとしてしっかり理解しておかなければならない世界です。そんな分布定数の振舞いを解りやすく解説します。

今、図1の回路でS1を閉じると6Vの電源から電圧波と電流波が発生し伝送線路内を進みます。この時のA点の電圧と電流は伝送線路の特性インピーダンスで決まります。つまりZo=30Ωなので3Vと0.1Aになります。そしてB点ではまだ0Vと0Aのままです。

図1

しばらくすると、電圧波と電流波はB点に到着します。でもB点には10Ωがあり3Vと0.1Aではオームの法則に反します。そこでそれを解消すべく瞬時に反射波が生じてA点に戻ってゆきます。この反射波の大きさは-1.5Vと-0.05Aになり特性インピーダンス30Ωと整合します。

図2

ここで図3をもとに進行波と反射波の方向性を確認しておきましょう。

図3

B点での電圧と電流は進行波と反射波の合成で3V-1.5V=1.5Vと0.1A-(-0.05A)=0.15Aになります。そして1.5Vと0.15AはB点の10Ωと整合します。

反射波は伝送線路内を進みやがてA点に達します。A点ではS1をONして以降次々と電源から3Vの電圧波と0.1Aの電流波が送り込まれています。そして次々と帰ってくる反射波の-1.5Vと-0.05Aと合成されます。結果、図4のようにA点は1.5Vと0.15Aとなり10Ωの抵抗がそのままA点に存在しているように見えます。さて反射波のその後ですがS1につながる30Ωに吸収されて消滅します。

図4