超低ひずみ回路

オーディオ技術の一つに超低ひずみ回路があります.とにかく忠実に波形を増幅するために発展してきた技術で,現在ではひずみ率0.0001%(-120dB)以下のアンプも余裕で設計が可能です.0.0001%というと,例えば1kHz/1Vの基本波に対して2次や3次の2kHzと3kHzのひずみが1μV以下というレベルです.(4次や5次以降の高調波はもっと小さい)

このような超ひずみを測るには超低ひずみ発振器が必要になります.弊社にはひずみ率0.00005%以下という発振器技術があります.

次にひずみ率の分析ですが高調波というと普通FFTアナライザを連想します.ですが超低ひずみ回路は直接FFTアナライザで測ることは出来ません.なぜならFFTアナライザの入力アンプとADコンバータのひずみの方が大きいからです.まずは特殊な超低ひずみ基本波除去フィルタで基本波を除去してからになります.この超低ひずみ基本波除去フィルタ技術も弊社にはあります.

さて何が言いたいのかというと,この技術を光の世界に応用できないかと考えているのです.例えばガス分析です.ガスにはそれぞれ固有の吸収スペクトルがあり,正弦波変調した光をそのスペクトルに合わせると2次ひずみが生じこれでガス分析が出来るのです.でもこの原理を応用した光ガス測定器は既に存在します.弊社は超低ひずみ技術を使って今まで測るのが難しかったガスの種類やもっと薄いガスを測れないかと考えているのです.

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現在,超低ひずみフォトデティクタを開発しています.次に取り組むLD側も完成させて,まず両者直結でひずみ率0.0001%(-120dB)の達成を目指しています.このシステムの一番の課題はLDやPD自身のひずみを無視できるくらいに抑え込むことです.これには技術的目途がついています.

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さてその応用ですが,ガスだけでなく液体の分析や,医療への応用,環境測定,IT化された農業での応用,あるいは宇宙からの大気の測定にも使えるのではと考えています.

ある世界ではレガシーともいえる完成された技術.これを別分野に持ってくることでイノベーションが生まれる.これが面白いと感じるのです.