200MHz 450Vp-pでLNを駆動

10年以上前の仕事ですが,あるお客様から特殊なLNを200MHz 450Vp-pで駆動したいとの依頼を受けました.LNとはニオブ酸リチウム(LiNbO3)という結晶を用いた光変調器の事で,今日の10Gbpsや40Gbpsといった光通信に使われています.

普通LNは数ボルトの電圧で駆動しますが,今回は特殊な研究用で450Vp-pが必要です.過去ガス分析器用に2MHz 2000Vp-pの特殊トランスを作ったことがありその経験を生かせそうです.

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写真は先行試作品です.原理は簡単で空芯コイルとピストントリマ0.8~23pF/DC750Vによる共振回路です.無負荷でピストントリマを回すと126~320MHzで共振させることが出来ました.試にカーボニル鉄コアによるコイルも試作をしましたが想像通りの発熱で全く使い物になりませんでした.

LNには共振器の先端から金リボンを垂らして融着配線します.LNにつないでみると予想よりLNのキャパシタが大きく200MHzはかなりギリギリだったように記憶しています.そして実際に450Vp-p出ているかどうかは光変調で確認します.

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共振回路はインピーダンスが高くドライブが楽な様に思われますが,実際は様々な損失があり5~10Wのアンプでグイグイとドライブしなければなりません.ですからコイルやトリマを放射温度計で測ると100℃近い温度に上昇しています.

面白い事に共振器は金属箱の中に閉じ込めるとQが高く損失が小さくなります.逆にオープンな環境では電波として逃げるエネルギーがあるので損失が大きくなります.上の写真は先行試作品ですが,最終的には綺麗な専用の金属ケースを組み全面に金メッキを施します.金メッキはQを上げるためです.その後もっと画期的な回路に気づきました.ですからまたチャンスがあれば作ってみたいですね.