GaNのリニア応用2

次にOPアンプとGaNを図1の様に組み合わせました。そのための専用基板も作りました。写真1参照。

[図1]

[写真1]

まず試したのはTI社のTHS3001です。見事に発振しました。ドレインとGND間のキャパシタを強化してもダメ。ゲートとソース間に100Ωや1kΩの抵抗を設けてもダメ。電流帰還型OPアンプの帯域を決めるR2を調整してもダメでした。
試したのはTI社とAD社のTHS3001、AD8001、AD848、AD8014、AD829、OPA656の高速系です。でも低速系のOP184とTL071なら問題なく動きました。写真2参照。
過去RFパワー用バイポーラでも同様の回路を製作しており、この時は問題なく動いています。組み合わせたのはTHS3001と2SC2290です。

[写真2]

何故、高速系OPアンプではダメなのかを探るべく、安定に動くOP184と組み合わせて、方形波信号によるゲート波形を観測しました。すると正方向ではいかにも駆動しているという感じですが、負方向ではGaNがOFFし、自然に電圧が下がるのを待っているのです。つまりNFループが切れる瞬間が生じてこれで発振していたのです。写真3参照。

[写真3]

バイポーラの場合は一見OFFに見えても、実はベースとエミッタ間はLog特性でちゃんと動いており、コレクタ電流もhFE倍されて出力されます。一方GaNの場合はVTHにより、ONとOFFがはっきりしすぎています。
元来、GaNはノーマリーONなので、それを使うならカットOFFしないので、使えると思います。または定電流源でバイアスする方法もあるでしょう。
ですが世のGaNはスイッチ用に作られておりパッケージが小さすぎます。したがってリニア用途では熱の問題がでてきます。私としてはリニア用のGaNがあれば面白いと思うのですが。