昨年はさらに抵抗熱雑音そのものを測る挑戦もしました。つまり1kΩは本当に4nV/√Hzなのかを測ったのです。89441AもCF360も抵抗熱雑を測るには計測器自身の雑音が大きすぎます。そこで久々に本気を出して製作したのが超低雑音のプリアンプです。このクラスのアンプになるとOPアンプ単体での実現は無理でディスクリート部品との組み合わせになります。


設計目標は、ゲイン60dB、帯域1MHz、入力換算雑音1nV/√Hzです。そして出来上がったプリアンプは、ゲイン60dB、帯域3.4MHz、入力換算雑音0.65nV/√Hzでした。0.65nV/√Hzはおよそ26Ω相当の抵抗雑音になります。


| スペック | 設計値 | 仕上がり |
| ゲイン | 60dB | 60dB |
| 周波数帯域 | 1MHz | 3.4MHz |
| 入力雑音密度 | 1nV/√Hz | 0.65nV/√Hz |
このプリアンプを通して抵抗の熱雑音を測ったのが下記です。見事1kΩは本当に4nV/√Hzである事が実測でも証明されました。(100Ωと1kΩはプリアンプの26Ω分を計算で補正)

| 計測抵抗(Ω) | 読み値(nV/√Hz) | 計測値(nV/√Hz) | 理論値(nV/√Hz) | グラフ色 |
| 100 | 1415.9 | 1.263 | 1.29 | グリーン |
| 1k | 4372.9 | 4.326 | 4.07 | ブルー |
| 10k | 13261 | 13.261 | 12.9 | オレンジ |
| 100k | 38848 | 38.848 | 40.7 | イエロー |
せっかくのプリアンプですから抵抗電流雑音も測りました。これは熱雑音とは違ったメカニズムの雑音で、抵抗に電流が流れると発生する雑音です。この雑音には理論式は無く性質だけが解っています。材料として金皮と薄膜には見られませんが厚膜や炭素に存在しします。スペクトルは1/f特性で、抵抗器の体積が大きくなると雑音が小さくなる事がわかっています。
実験は1kΩの電流雑音を計測しました。超低雑音のニッケル水素電池から2個直列の2kΩに電流を供給します。計測は抵抗の中点からでテブナンの定理によって1kΩを測ったことになります。厚膜1kΩの4個直列は体積を2倍するためのものです。

計測結果ですが、理屈通りに厚膜には見られ金皮と薄膜には電流雑音はありませんでした。そして厚膜も抵抗の体積が大きくなると雑音が小さくなる様子が計測されました。(50Hzのとがりはハム)

| 抵抗器 | 構成(Ω) | 型式とメーカ | グラフ色 |
| 2012厚膜 | 2k+2k | RK73H KOA | グリーン |
| 2012厚膜 | 1k+1k+1k+1k | RK73H KOA | ブルー |
| 2012薄膜 | 2k+2k | RR1220P SSM | オレンジ |
| アキシャル金皮 | 2k+2k | MFS1/4 KOA | イエロー |
