超低雑音DCDCコンバータの可能性について
DCDCコンバータはノイズが多いとよくいわれます。実際出力にスペアナを接続すると、写真1の様なスペクトルがたくさん並びます。ですから、超低雑音電源が必要な場合は、現在でも商用電源のトランスで作られることが多いのが実情です。

ではなぜDCDCコンバータはノイズが多いのでしょうか。その理由として良くいわれているのは「正弦波ではなく高調波の多い方形波でトランスが駆動されている。そしてその方形波はスイッチングで作られている。」というものです。
ではDCDCコンバータで超低雑音電源を作ることは不可能なのでしょうか?結論を申せば可能です。写真2は弊社で開発した計測用およびオーディオ用のコンバータの残留スペクトルです。

ところでこれはどうやって達成されたのでしょうか。それにはまずリプルとノイズの違いを認識するところから始めなければなりません。リプルとノイズは同じものの異名と思われがちですが、実は発生メカニズムが全く違います。
 リプルはコンバータの原理から来るもので、低雑音とされる商用電源トランスのDC電源にも存在します。それは正弦波を全波整流しコンデンサで均してもなお残る波形のうねりです。
 一方ノイズはスイッチングで発生します。MOSFETやダイオードがOFFになり回路が高インピーダンスになると発生します。そうなのです。これからを克服すれば可能なのです。
 まずリプルですが、これは方形波駆動に徹します。よく正弦波が理想だといわれますがそれは違います。正弦波は山形なので原理的にリプルが発生します。一方、方形波の全波整流なら完全な平面が得られます。
 次にノイズですが、トランスから電源や負荷方向を見たときに、テブナンの定理による低インピーダンスが常に守られるなら発生しません。
 実際、商用電源トランスはノイズを出しませんし、信号変換用のトランスもノイズを出しません。解りやすい例としてプロ用のコンデンサマイクロフォンがあります。マイクロフォン内部にはインピーダンス変換用のトランスがありますが、ノイズなど出さずに綺麗に信号変換します。
弊社の開発した超低雑音DCDCコンバータは、その全容を戦略上お見せ出来ませんが、以上の様な基本原理で設計されております。もちろんLCフィルタはありますが、軽くあるだけでLCフィルタに頼っている訳では有りません。



